絨毛検査 - 兵庫医科大学病院 出生前検査・診断

絨毛検査とは

・絨毛とは妊娠早期の胎盤の一部で、それを採取するのが絨毛検査です。これは胎児の染色体異常や遺伝子疾患を診断するための検査で、妊娠10~13週頃に行います。当院では基本は13週で実施します。

・最初に超音波検査によって胎児の発育や、明らかな異常の有無を調べ、胎盤の位置を確認します。

・絨毛検査の方法は2つあり、ひとつは経腹法、もうひとつは経腟法です。

・絨毛のサンプルは腹壁を通して(経腹法)、あるいは腟~子宮頸管を通して(経腟法)採取します。いずれの場合も超音波の画像で位置関係を確認しながら行い、注射針(経腹法)を通じて注射器内に回収するか、絨毛生検鉗子(経腟法)を用いて採取します。

・経腹法と経腟法のいずれを実施するかは、胎盤の位置によって決まります。胎盤が子宮の底部や前壁に付着している場合は経腹法で、後壁や前壁でも頸管に近い部位に付着している場合は経腟法で行います。いずれも胎盤の位置に応じて最適の採取方法で行います。

・絨毛検査は以下の利点に示すように新型出生前診断(NIPT)で陽性になったり、超音波検査で胎児に明らかな異常があったりして、胎児異常の可能性が非常に高い場合に実施します。また特定の遺伝病の診断のために、早期にまたは量が多めの胎児情報を持った細胞を必要とする場合にも行います。単に妊婦さんの年齢が高年であるという場合には、絨毛検査は実施していません。

絨毛検査の利点

・確定診断検査と位置づけられており、採血による検査と違って、基本的に結果は確実な結果となります。

・羊水検査に比べて妊娠のより早い時期に結果が得られます。

・羊水検査に比べて採取できる胎児の細胞の量が多く、遺伝子検査などに向きます。

絨毛検査の欠点と合併症

・羊水検査に比べて手技が難しく、実施可能な施設が限られます。

・絨毛は厳密には、胎児の細胞ではなくて、胎盤の細胞なので、必ずしも胎児と同じではありません。「胎盤限局モザイク」という染色体正常と異常が混在した状態が結果として報告されることがあり、その場合には、胎児は正常か異常か判断できないことがあります。「胎盤限局モザイク」と報告された場合には、羊水検査を実施しないと診断できなくなります。そのようなケースが1%程度あり、このような場合は、あらためて妊娠16週以降に羊水検査を実施することになります。

・流産リスクが1%程度とされ、羊水検査の0.3%よりも高くなります。しかし、これは検査が危険と言うことではなくて、妊娠週数が早いほど、流産することが多いため、羊水検査よりも早い週数で実施する、絨毛検査では流産が自然と多くなります。従って、検査が原因で流産するリスクは羊水検査と同じ程度としても、実際に流産する可能性は絨毛検査の方が高くなります。

・流産に至らなくても出血や破水などが起こることがあります。

・まれに重症合併症が生じる可能性があります(当院ではまだこうした重症合併症はありません)。経腹法の場合には針が腸に刺さって、腹膜炎などの重症感染症を引き起こす可能性があります。経腟法の場合には絨毛生検鉗子が子宮筋層を穿通して腹腔内に達して、腹膜炎などの重症感染症を引き起こす可能性があります。

経腹法

 

 胎盤が子宮の前壁や底部に付着している場合に実施します。

 羊水検査と同様にお腹の上からエコーで胎児や胎盤の状態・位置を見ながら、腹部の皮膚に麻酔をして、その後に腹壁から胎盤(絨毛)へ注射器に接続した針を挿入します。麻酔をしても多少の痛みを感じる場合があります。また検査終了後しばらく下腹部の違和感、痛みが続く場合があります。

 注射器の中に絨毛が回収されたら、顕微鏡で確認して、終了です。

経腟法

 胎盤が子宮の後壁や子宮頚部に近い前壁に付着している場合に実施します。

 内診台の上に乗っていただいて、婦人科的診察をする状態で、エコーを見ながら、腟~子宮頚管~胎盤に絨毛生検鉗子を挿入して、絨毛を採取します。

 絨毛を顕微鏡で確認して終了です。終了後に少量の出血があり、1~2日続くことがあります。

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